ご挨拶

代表取締役社長 吉松賢太郎
President
Kentaro Yoshimatsu

ご挨拶
  2018年5月12日付で当社代表取締役社長に就任を致しました吉松賢太郎です。当社は、国立がん研究センター発の認定ベンチャーの中で唯一抗体医薬の開発を行うバイオベンチャーです。
  当社の技術シーズである抗体は、同先端医療開発センターの松村保広新薬開発分野長によって見出された新規の抗体であり、国立がん研究センターと連携し、がん治療薬及び診断薬の開発に向けて研究開発を進めております。当社の技術競争上の強みは、松村分野長が、独自の発現解析と腫瘍組織の間質・血管に注目して開発してきた研究技術プラットフォームにあります。

  凜研究所が開発を進めている抗体シーズは複数ありますが、その中で最も開発が進んでいるものが抗TMEM180抗体です。腸管洗浄により得られた純度の高い正常な腸管上皮細胞を対照とし、大腸がん細胞で高発現している分子を探索するという極めてユニークなアプローチ法で得た抗原TMEM180に対するヒト化抗体です。大腸がんに加えて、卵巣がん、乳がんにおいても高い頻度で高発現していることをHuman Tissue Arrayを用いて確認しており、また、低酸素に反応して発現を上昇させるHypoxia Response Elementがプロモーター領域に存在することを明らかにしています。2017年6月にヒト化抗体を生産するリサーチセルバンクを樹立し、最近、マスターセルバンク及びワーキングセルバンクを樹立し、現在は抗体製造のプロセス開発を進めています。

  2番目の抗体シーズは、間質に特異的に存在する不溶性フィブリンに選択的に反応し、可溶性フィブリンやフィブリノーゲンには反応しない抗不溶性フィブリン抗体に薬物を結合させたAntibody Drug Conjugate(ADC)です。腫瘍組織の間質に注目したがんの治療法であるCancer Targeting Stromal Therapyがこの開発の基本であり、松村分野長が提唱したものです。抗不溶性フィブリン抗体は、フィブリノーゲンがフィブリン塊を形成する時にのみ出現するエピトープを狙って作製されたものであること、また、抗体と薬物の結合は、間質で活性化されるプラスミンによって切断されるリンカーをデザインしていることが大きな特徴です。現在、理化学研究所の眞鍋史乃専任研究員と共同研究を進めており、今年中に最適な薬剤を選択し、具体的な開発候補ADCを決定する予定です。本抗体はがん領域のみでなく感染症、血液疾患、凝固異常などの分野の世界の研究者たちに、松村分野長から提供され共同研究が実施されています。

  これらの開発を進めるために必要な資金調達については、2018年6月25日に、株式会社ファストトラックイニシアティブが運営するFTI2号投資事業有限責任組合を割当先とする第三者増資を行いました。今後、抗TMEM180抗体のGMP原薬製造・GLP安全性試験等の非臨床試験および治験の実施や、抗不溶性フィブリン-ADCをはじめとする後続の抗体シーズの開発のための追加資金が必要であり、内外で資金調達のための活動を進めてまいります。

  当社は、1986年のEnhanced Permeability and Retention(EPR)効果の発見を含め、腫瘍組織の間質・血管に関する研究で世界をリードする松村分野長に加え、抗体医薬の研究に15年以上の経験を有する研究チーム、製薬企業やバイオベンチャーでの創薬及び経営の経験や企業ファイナンス分野で長い経験を持つメンバーからなるユニークなバイオベンチャーです。私自身も、大手製薬企業で約40年の研究開発の経験があり、そのうち、20年以上はがん領域の創薬研究を、また、6年間はグローバルな研究開発の責任者を担当しており、凜研究所のパイプラインに魅力を感じて入社する決意を致しました。

  ヘルスケア特に創薬分野への投資を考えているベンチャーキャピタルの皆様、がん領域のパイプラインの充実を企図されている製薬企業の皆様、また、ご自身の研究開発の能力を新たな場で発揮したいと考えている皆様には、是非、凜研究所にご連絡、ご相談をお願いいたします。
略歴
  • 1978年東京大学大学院薬学系研究科修士課程修了
  • 1978年エーザイ株式会社入社
  • 2003年~2006年同社執行役 創薬研究本部長
  • 2006年~2009年常務執行役 グローバル研究開発責任者
  • 2009年~2011年常務執行役 チーフサイエンティフィックオフィサー
  • 2010年~2011年H3 Biomedicine Inc(米国) 社長(兼任)
  • 2011年~2018年2月シニアサイエンティフィックアドバイザー
  • 2018年2月当社取締役就任
  • 2018年5月当社代表取締役社長就任
研究担当取締役 松村保広

研究担当取締役 松村保広
Director of Research
Yasuhiro Matsumura, MD, PhD

ご挨拶
  抗体IgG が、分子サイズから言って体内のがん組織に集まりやすいというEPR効果を報告したのは、今から30年前、1986年のことでした。そして、1994年には、乳がんの細胞からCD44v2という分子を見出し、その抗体を作製することに成功しました。しかしながら、臨床的に役に立つ抗体とはなり得ませんでした。

  これらの研究の結果と失敗の経験から、真にがん特異的な分子を見つけ、その抗体を作製することができれば、必ずがんの治療や診断に応用できるはずだという信念を持つに至りました。それから十数年、紆余曲折はありましたが、ついに大腸がん特異分子を数種発見し、それらの抗体の樹立に成功することができたのです。

  また、悪性度の高いがんの周囲には血液凝固の塊が存在しますが、私はその塊の表面にある凹み構造を発見し、その抗体の樹立にも成功しています。こちらはいずれ、たちの悪いがんである膵がんや脳腫瘍の治療などに応用できるのではないかと考えています。

  私はがんセンターから兼業許可を得て凜研究所に参画し、今後 はいよいよ、上で述べたような抗体製剤による、新たな治療法と診断法の実用化を目指して参ります。
略歴
  • 1981年熊本大学医学部卒業、第一外科
  • 1988年医学博士号取得
  • 1989年米国Mt Sinai医科大腫瘍内科
  • 1990年英国Oxford大学病理
  • 1994年国立がんセンター中央病院内科医員
  • 1999年同特殊病棟部医長(ミセル製剤の治験)
  • 2002年国立がん研究センターがん治療開発部部長(後の新薬開発分野)
研究業績
1)がんと内因系血液凝固:不溶性フィブリン上の凹み構造の発見と、その抗体の樹立。CAST治療の提唱。EPR効果の発見。Hyp3-bradykininの発見
2)抗体開発:新規大腸がん分子の発見とその抗体の樹立。
CD44変異体V2の発見とその抗体樹立。
  • 1981 MD from Kumamoto University Trainee, 1st Department of Surgery, Kumamoto University
  • 1988 PhD from Kumamoto University
  • 1989 Postdoctoral fellow of Department of Neoplastic Diseases, Mt Sinai Medical Center, NY, USA
  • 1990-1994 Postdoctoral fellow of Nuffield Department of Pathology Oxford University UK
  • 1994-1999 Staff Physician, Department of Medicine, National Cancer Center Hospital.
  • 1999-2002 Head of Department of Medicine, National Cancer Center Hospital
  • 2002- Director of Division of Developmental Therapeutics, EPOC, National Cancer Center
Research achievements
1) Cancer induced intrinsic blood coagulation: Discovery of unexplored holes on fibrin clot and development of its monoclonal antibody (mAb). Proposal of CAST therapy. Discovery of EPR effect and Hyp3-bradykinin
2) Development of mAbs: Identification of colorectal cancer marker and the development of the mAb. Identification of CD44 variant 2 and the development of the mAb